病は気から、ではなく病は体力低下から

「病は気から」とはよく言ったもので、本当だと思います。ただ、抑うつ状態の人には当てはまりません。うつ病と診断され、長く患った後で元に戻った経験者からすると、「病は身体から」?!と身も蓋もない結論に達しました。
自分でもよく分からないことを言っていると理解しています。その辺を経験則からお話します。
もちろん、人によりけりですから、あくまでも私の経験談として参考程度でのご理解をお願いします。

気力は体力の中にある

「病は気から」の気は「気力」「気分」のことです。単純に「気」でも日本人ならなんとなく理解できる力です。
この「気力」(ここでは気力と定義)は、身体が元気で無ければ沸いてこない力だと身をもって知りました。

抑うつ状態でも服薬と通院をし、誰にもバレずに社会にいた者には、なんとか気力で踏ん張ってきたのも事実です。
元に戻るためにアレコレと対処法を試したところ、結局は身体の力を戻すことが最初でした。

何かを楽しむのも、気力を養うための対処も、すべて気力がないと続きません。
そもそも気力が無くなったから抑うつ状態に陥っているわけです から、気力に注視したところで本末転倒でした。

自分の気力を取り戻すのは、身体の力、すなわち体力の回復が重要でした。
当然ながら体力だけではありません。私の場合も、別の理由もあって気力を失っていたので、体力も気力も同時に足りていなかったことになります。

基本は体力だと今は痛感しています。
では、体力を回復すれば抑うつ状態から脱するかというとこれも個人差があるとは思います。

通常を100とした場合、私は常に50以下の体力しかなかったと自覚しました。
この体力50の中から気力はできると考えてみてください。最大でも気力50です。実際は40くらいでしょうか。

基礎体力を上げて最大値をもっと大きくするようなイメージを目指しました。

そうして体力が最低でも60を切らないような感覚まで回復できたら、気力も自ずと高くなってきた感覚です。
つまり、何かを楽しめたり、喜怒哀楽が表現できる余裕が産まれてきたのです。

あまりに体力も気力も低下すると、人は能面のように感情表現も疲れてしまいます。少なくても私はそうでした。
楽しいことなのに楽しめないようになってしまいます。気力が無いからです。これは体力が無いとも言い換えができる状態でした。

だから、とにかく休むのが最大の薬です。寝ることですね。
恐らく、食べられなくなっている状態ですから、寝るのにも体力が足りずに寝られないか、たまにずっと起きられないくらい眠ってしまうことが繰り返し起こりました。

気力を出したくても出ない。これは器に相当する体力が低下しているからだという結論に至ったわけです。

「火事場のクソ力」や「気力を振り絞って」という言葉があります。
患っていたときは、毎日がこの状態だったように思います。これは長続きするわけはありません。直ぐに倒れてしまいます。

食事と睡眠、軽い運動

結局は食事から変えないとなりませんでした。
必要な栄養素が足りていないことも原因です。白米やパンを食べてお腹が張ればいいということではなく、必要な栄養素をきちんと摂取することが重要です。
元々少食であった私は、身長こそ平均的な男性の高さでしたが、体重は少ないままでした。

身長173cmなのですが、回復した現在の体重は66キロと頗る調子が良い状態です。
これがうつ病と診断された時、48キロまで低下し、会社勤めしながらの時でも55キロ程度でした。
元々、チビと呼ばれるくらい小さい子供でした。
誰よりも小さく、年齢で言えば5歳くらい下の体格でした。下級生より小さいわけです。幼少期の食事も影響したのかもしれません。

体重だけの問題ではないのですが、ここ10年は65キロ前後で維持できています。

食事:ビタミンB6、B12、タンパク質、鉄分

私が足りていなかった栄養素は、主にビタミンB6、B12、タンパク質と鉄分です。
これは医療機関で調べたわけではありません。うつ病に良いとされる栄養素の書籍が、2010年頃から出版され始めたのを読んだからです。

藁にもすがりたい私は、これから書籍はだいぶ以前からすべて読んできました。
こういった本に出会ってから、自分の中の疑問が解けた気がしたので、すぐに実践してみたかったのですが、家庭の事情もあって実践できたのはそれから4〜5年後になります。

詳しくは本を読んでもらいたいですし、私自身が医者でも何でもありませんから、適当なことは書けません。
かいつまんで書くと、ビタミンB6、B12はなかなか摂ってきませんでした。
私は好き嫌いはありません。摂っていない習慣だったわけです。

ビタミンB6、B12は、タンパク質とも関係があります。
私は摂取しやすいブロッコリーやレバー肉などで補いました。

鉄分も足りていません。
鉄分が足りないと言っても貧血レベルではありませんので、鉄剤は処方されないため摂取はとても難しかったです。
市販の鉄分はヘム鉄などが多く、それだと足りず、食材から多く摂るために牛肉を食べました。
腎臓結石持ちであったことから、鉄分は逆に控えてたのも悪い作用でした。

最後にタンパク質は、圧倒的に足りていなかったと思います。
なるべく摂りたいとなると、やはり牛肉がちょうど良いのですが、あまり肉類は好まない食習慣でしたから困りました。

すべて食材から意識的に摂ることは回復した今も継続しています。肉やビタミン類の食材を主に食べています。

どうしても足りないので、市販のサプリメントを活用しました。
特に効いたのはプロテイン飲料です。肉と一緒に摂ることで十分な量を確保できたと思います。

およそ5年は続けて、今はサプリメントもプロテイン飲料も辞めています。通常の食材から十分に維持できるまで回復したからです。

睡眠:夜に寝る

睡眠の改善は、今もなお難しい部分があり、時々狂います。それでも毎日のように夜になれば眠くなって寝ることはできています。

回復に努めている時、睡眠だけは苦労しました。もう強制的に改善させるしかありませんでした。

日中はとにかく日光を浴びることを念頭に、軽い運動をします。その上で日中は寝ないようにして暗くなってから寝るように努めました。

この辺は個人差が大きいため、同じようにはできないと思います。

軽い運動は元より、日光を浴びる日光浴は必要です。
栄養素のビタミンB6、B12を摂っても、日光を浴びないと意味がありません。必要な神経の材料を生成するのに必要だからです。

眠ることだけは単独では難しい側面がありますから、運動とセットにしました。

軽い運動:ウォーキングが最強だった

では、運動はどうしたかを具体的に述べると、片道20分のウォーキング=散歩がメイン でした。
この他には公園で数時間を過ごす軽い森林浴も、日光浴を兼ねて気持ちが晴れるのでお薦めです。

お勤めをしていると時間が限られますが、早朝なら往復40分ですから無理がありませんでした。
別の記事でまた書いていますが、ウォーキングから戻ったらシャワーや朝風呂に入ることで更に良かったです。

これだけだと足りないと踏んで、自宅で朝や寝る前にストレッチを欠かしませんでした。

本当に軽いもので構わないと思います。時間にして10分や15分くらいです。
ストレッチは今も続けています。

ウォーキングは決まった時間にするのは卒業し、時間があるときに買物をかねて歩くことにしています。今はこれだけです。
3年間はずっと早朝に歩いていました。その後は行く間隔を空けて2年間くらい続けました。

軽い運動だけでなく、すべてを集中的に行った結果、体力も気力も下支えできるくらいの強度というのでしょうか、現在も維持できています。

ストレスは気力が削がれる

食事、睡眠、軽い運動を熟すことで、回復する速度も上向きました。
それでもたまに抑うつ状態になっていたのは、ストレスが原因です。

お勤めしていれば毎日のように何かしらのストレスはかかります。ダメージとしては気力が削がれる感覚です。
当時はストレスに感じたことも、今はそう感じないようになっているため、気力の強度も上がった気がします。

ストレスは身体にも心にもダメージを負います。
適度なストレスは逆に必要になりますが、ダメージを食らっても解消する必要があります。このストレス解消もやはり体力や気力が欠かせません。

個人差はあれど、ストレス解消ができる体力と気力の部分は残っているような生活を続けないと、また抑うつ状態に陥ってしまうと考えています。

回復した現在

今は自信を持って、二度と抑うつ状態にならないよう色々なことをセーブして過ごしています。
その甲斐があって、友人から「身体が肉厚になった」、「声が腹から出てる」という変化を指摘されるほど見違えるようになったのです。

ヤバいな、これ以上は下支えできないレベルに達してしまうという感覚は、気力よりも体力で測れるようになった気がします。

ストレスはゼロにはできません。
先ずは体力を回復させ、その体力の一部を使ってストレスを解消する ことで、気力を維持するといったイメージで生活しています。

「病は気から」は正解でも、「元気があれば何でもできる」の方がしっくりきます。

タイトルとURLをコピーしました